月の城の物語 最終回




やがて――
長い冬が終わり……
――こんにちは。ジャックです。
こちらでは雪がとけて
春になりました。
僕たち、
庭にレストランを開きました。
お料理担当はソラ。
早いし美味しいし、
もう評判のコックさんです。
お昼に開店の日と、
夜に開店の日と
分かれています。
それは……
僕とソラの眠る時間が
ちがうからです。ソラは夜。
僕は朝ベッドに入ります。
でも最近、
僕も夜ねむたくなるんです。
なんだか耳も
丸くなってきたような……
変ですね。僕なんだか
人間みたい。
ソラと同じ人間になれたら
いいな、と思うけど。
友達という宝物ができたのに、
これ以上欲張るのは
いけないことのように思います。
お城は無くなったけど、
新しいお家は
昔に負けないくらい賑やかです。
僕はもうひとりぼっちじゃない。
だから安心して。
さようなら。
お空のお父さんお母さん……
ジャック。
はい、あーん。
今夜のオススメデザートの
味はどう?
――……あ
……きれいなお月様。
ほんとう。
きれいなお月様だね。
ようし。今日もがんばろう!
――あ、お客様だ!
いらっしゃいませ!
月のレストランへようこそ!




お し ま い